潅水方法の違い
同じ「潅水」をするものですが、スプリンクラーと点滴チューブシステムは多くの違いがあります。
また、見た目が似ている穴あきホースも全く別のものです。
潅水範囲の違い
スプリンクラーは勢いよく水を撒くことで広い範囲に散水することができます。
散水範囲は円形になります。
円形のため、水のかからない場所ができてしまいます。全体に水がかかるように配置した場合は、二重にかかる場所ができてしまいます。
点滴チューブを使えば、すべての農作物に同じ量の潅水をすることができます。
潅水場所の違い
スプリンクラーは農作物の上から散水します。
そのため、枝葉が濡れることが多く、病気のリスクも高くなります。

点滴チューブは農地に張り巡らされたチューブから農作物の根元に直接潅水します。
上方から水をかけることがないため枝葉を濡らす心配はありません。
潅水量の違い
スプリンクラーは短時間で多量の水を与え、一定時おきにそれを繰り返します。
短時間に多量の水を与えることで土壌の環境が急激に変化し、農作物へのストレスとなることが心配されます。
点滴チューブは少量の水を長時間かけ潅水するため、土壌の環境変化を抑えることができます。
穴あきホースとの違い
ホースに穴をあけ、農地に張り巡らせて潅水する方法は安価で実施できます。
一見、点滴チューブと似た状態になりますが、ホースに穴をあけたものでは、水源に近い場所の水圧が高くなり、水源から離れるほど水圧が低くなります。
そのため、水源に近い場所の潅水が多量となり、水源から離れるほど水の出が悪くなります。
結果として、水源に近い農作物と遠い農作物の潅水に差が出てしまいます。
点滴チューブは水の排出口付近が迷路のような構造になっています。
これにより、チューブに一定の水圧がかからなければ水を排出することができません。
水圧がかかるためにはチューブの先端まで水が届く必要があります。
この迷路構造は通過する水も一定量以上通ることができないため、水源からの距離に関係なくチューブ全体から同じ量の水を潅水することができます。